佐伯市・中村香純さん

投げ銭ゲストハウス「さんかくワサビ」オーナー

新しい自分を見つけにいこう

福岡で生まれて、5歳で横浜に引っ越しました。生まれた時から自己主張が強かったって言われます。東京の専門学校を出てからは、フリーターをしながら過ごしました。旅が好きで、お金が貯まったらどっか旅に出るみたいな。ワーキングホリデーでオーストラリアにも行きました。

そんな生活を続けてたんですけど、20代後半になってふと思ったんです。このまま30歳を迎えていいのかなって。仲間もたくさんいて毎日飲んで騒いで楽しかったんですけどね。だけど、なんか違うなって思って、「新しい自分を探しに行こう! 田舎に行こう!」って東京を出ました。

軽バンを改造して、車中泊をしながら全国を回りました。新しい田舎を探そうって思ってましたね。旅の途中で、地域おこし協力隊のことを知りました。

※地域おこし協力隊……都市地域から過疎地域などに移住して、地域ブランドや地盤商品の開発・販売・PRなどの地域おこし支援や農林水産業への従事、住民支援などの「地域協力活動」を行いながらその地域への定住・定着を図る取り組みのこと。

キッチンのなかは中村さんの特等席。いつもここから笑顔を見せてくれる。

練習のつもりで……佐伯の地域おこし協力隊に?

地域おこし協力隊のマッチングサイトで佐伯市を見つけました。実は1回だけ佐伯に来たことがあるんですよ。20歳くらいのときかな? 小さいころからお笑いのダイノジのファンで、友達と「二人の出身地の佐伯に行ってみよう!」って。

本当は福岡県柳川市の協力隊になりたかったんですよ。協力隊の仕事内容「英語ができる船頭さん。女性も可!」って、めっちゃかっこよくないです? だから、とりあえず練習がてら佐伯を受けてみようかなと思って受けたんです。
けど、練習がてら受けた協力隊の試験にすんなり受かっちゃったんですよね。担当者からは食い気味に「いつ部屋を決めに来るか」ってすぐに連絡がありました。
いざ部屋を決めに来てみると、「今日こっち泊まるやろ? 知り合いの旅館に連絡しとっちゃんわ!」って宿も決めてくれるし、飲みに連れて行ってもらったら家族ぐるみの飲み会で、そんななかに突然入れてくれて。「なんだここ!? めっちゃいいじゃん!」ってなっちゃったんですよ。

それから3年間、佐伯市役所の観光課で働きました。韓国や台湾からの観光客の誘致やグリーンツーリズムなどに関わりました。佐伯のおいさんに心奪われて『佐伯のおいさん』っていうフリーペーパーも活版印刷で出しました。
協力隊になって2年半くらい経った頃、ここに住み続けようって決めました。

佐伯って嫌なところがないんですよね。地域おこし協力隊になるって決めて、いろんなブログを読み漁ったんです。村八分的な扱いを受けたとかネガティブな記事しかなくって。だけど、ここではそんなこと1回もなかった。むしろ、みんなあったかい。佐伯の一番の魅力ってひとだと思うんですよね。食べ物も美味しいし。

投げ銭ゲストハウス「さんかくワサビ」爆誕!

「ゲストハウスをしたいな」っていうのはずっとありました。佐伯に来て佐伯のひとの魅力を知ったんです。だから、もっと外のひとにも佐伯のひとの魅力を知ってもらいたいって思いましたね。佐伯の面白さや優しさに直に触れてもらいたいと思ったんですよね。
それならゲストハウスみたいな全然違うひと達を受け入れられる場所をつくったらいいんじゃないんかって。

遠くから来た人が、「どこのご飯がおすすめですか?」って聞いたら、隣にいたおいさんが「あっこがおすすめで!」って教えてあげるみたいな。そうゆう場所をつくれたらなって。

そんなことを周囲に話したら、「空き物件貸すよ!」とか「作業手伝うよ!」ってみんな協力してくれました。ここの壁もみんなで塗ったんですよ。足りない資金はクラウドファンディングで集めました。たくさんの人の協力で、ここをオープンさせることができたんです。私、基本ヘタレなんでひとりじゃなんにもできないんですよ。みんながいてくれたからこそ、ここができました。

投げ銭にしたのは、ワーキングホリデー時代の経験があったからですね。オーストラリア時代に仕事を辞めちゃって、寮付きのところだったんで住むところもなくなっちゃってお金も600円くらいしかなくって、とぼとぼ歩いてたんです。

そしたら、知り合ったばっかりの台湾の子が声をかけてくれたんです。その子の家に泊めてくれて、ご飯も出してくれて、仕事も同じところを紹介してくれたんです。

その時に思ったんですよね。人間、お金がないからって卑屈になる必要ないんだなって。お金がなくて旅してて、駄目だなぁと思ってた私を助けてくれる人がいた。お金がなくても旅して新しい出会いを求められるんだって。だから、お金のない人にも泊まって欲しいなって思ったんです。

一緒になった近所のおいさんが「なんか! そげぇ金がねぇんか! そんなら寿司でもおごっちゃん!」って、そんな出会いもいいと思うんですよ。その時はただラッキーとしか思わないかもしれないけど、自分がお金が持てる時が来たら、自分も誰かに同じようなことをしてあげたいって思うんです。「恩送り」ですよね。そんなことも起こる気がして投げ銭にしようって思いました。1円しかもらえなかったらどうしようとか考えて悩んだりもしたんですけど、最終的には投げ銭でやってみたくて仕方がなくなって投げ銭にしちゃいました。

今は「ADDress」の人などを含めて平均で一日2人くらいの利用がありますね。一緒に行きましょうって一緒にスナックに行くこともあります。また来ますって手紙をくれたり、何度も利用してくれたりする人もいます。楽しいですよ。

いつか子どもをおんぶしてここに立てたらなって思います。今の感じならできると思うんですよね、子どもがいても。結婚はしなくてもいいんですけどね。

※ADDress……日本各地で運営する家に定額で住めるサービス。月々4万円~住み放題でライフラインや敷金礼金などは全て込み、何度でも移動OKでWi-Fiや寝具やキッチンなど生活や仕事に必要なものは完備されている。

大分んこと、知っちょん?
〜教えて! 大分の好きな◯◯〜

新町のスナック


扉を開けたら個性の世界ですよね、スナックって。雰囲気が大好きです。しかも、佐伯って新宿ゴールデン街でもないのにめっちゃスナック多いんですよ。人口比からしたらすごいと思います。
まだまだ開拓していきます。

▼佐伯市新町

text & photo by Hitomi Ono