中津市・野村幸聖さん

ヘルスケア会社経営/少しリハビリ/たまに素人漫談家

リハビリ漫談してます。面白いことは言いませんけど

シャッター商店街をどうにか活性化させようってので、市役所と地元の商工会でコワーキングスペースを新しくつくって、そこで寄席をやることにしたんです。元々、落語やお笑いは好きだったし。そこで、友人の高校教師と一緒に、今の代表をはめて、素人漫談一座を始めたんです。

落語は結構難しいっていうか覚えるのも大変なんで。何人か落語やるって前のめりで来たんですけど、まあ自分はそんなにガッツリやらなくて、「リハビリ漫談」と称して、面白いことは言わないんです。落語と落語の間に面白くないことを言って、まあ結構高齢者も多いので、ストレッチとか筋トレとかのやり方を軽く、という感じです。

今、一門も10人くらいいて、市役所職員に税務署職員、柔道整復師、看護師、ママコンビと、バラエティーに富んでます。ママコンビはダウン症の子を育てていて、敢えてダウン症のお母さんあるあるっていう、初めて聞いたら笑っていいのか迷うようなネタをやってますね。

理学療法士になる前は、製薬会社の営業をしてました。本当に忙しかったし、自分を殺して働いていたんでしょうね。ある日鏡に写った自分の笑顔が卑屈で、ヤバイと思ったんです。当時、消炎鎮痛剤を扱っていたので、病院に出入りはしてました。でも、営業は医者に会ってナンボなので、リハビリテーション室の前は通過しながらチラッと見ている感じ。

でも、ある日病院の中をウロウロしていると、リハビリテーション室の明るい雰囲気が気になって覗いてみたんです。そこには、キツくて痛くて、嫌々やってる感じじゃなく、明るく楽しく、ポジティブな雰囲気が流れていた。きっと自分と対比していたんでしょうね。そこから理学療法士を目指すために、30歳で養成校に通いました。

34歳で理学療法士になって慢性期の病院に勤めることになりました。慢性期ってなるとベッドサイドが中心で、寝たきりの方の所へ行って、関節を動かしたり、床ずれができないようにポジショニングしたり。そういう利用者さんの中には胃ろうしてて、認知症もあってという方が少なくない。そういう現状を見ながら「この人たちって生かされてる?」と感じて……。自分の意思でそうなったわけじゃないんですよね……。

※胃ろう……口から食事をすることが困難になった人が、胃から直接栄養を摂取するための医療措置のこと。


今でこそ、アドバンスケアプランニング(人生会議)っていう考え方はあるけど、当時はそんなものはなくて、そこに疑問を抱いて。そこで色々考えた結果たどり着いたのが「予防医学」。じゃあもう病気にならなければいいじゃんって一気に思ったんです。でも、公的な保険に頼ってたら、やりたいことができなかったり、理不尽なこともあるから、40歳の時に独立して自分でやろうってなりました。

「癌でも楽しんでいいんだよ」と言いたい

自分、胃癌をやってるんですよ。36歳の時かな。ステージⅢギリで見つかって、今は生きてますけど。まぁその経験と。あと、母を一昨年同じ癌で亡くしてるんで。母の癌は見つかったのが遅くて、胃を手術で全摘する予定だったんですけど、手術中に執刀医から「ちょっとデカすぎてとれない。取っちゃうと高齢で身体も持たないかもしれないから、インオペ(手術中止)にしようかと思ってる」と言われて、腸ろうを提案されたんですね。自分は両親とはそうなった時にどうするかって話をしていたんで、「迷ったけど、でも母とは話をして決めてるので、腸ろうをしないでください」と執刀医に告げました。そしたら、執刀医も「私も人間は食べれなくなったら、亡くなるのが自然だと思うので。その意見は尊重します」と言ってくれて、救われたところがありました。

※腸ろう……口から食事をすることが難しくなった場合に腸に穴を開け、そこから栄養を直接入れる医療措置のこと。

今の日本の医療ってどうしても、西洋医学、標準療法を選ばざるえない状態。自分が胃癌になった時もそうだったんですけど、化学療法や抗がん剤は、もうすごい地獄で、ほんとにQOL(生活の質)は下がるし、治療に全部支配されるみたいな……。それだとどうしてもネガティブになるし、自分だけじゃなくて家族までネガティブになって、生活がガラッと変っちゃうので……。だからこそ、そうじゃない他の生き方とか。余命宣告されたのであれば、自分が自分らしく生きるためのお手伝いをしたいっていう。それは本人だけではなくて、家族に対しても。旅行に行ってもいいじゃんとか、お洒落してもいいじゃんって。もっと「癌でも楽しんでいいんだよ」と言いたいなと思ったんです。

今までの仕事では、ずっと自分を殺して、自分を甘やかさないように、自分を追い込んで。その中ですごい悪人になっていたと思います。でも、病気になったおかげで、感覚が180度変わりました。病気になったお陰で生かされている、生かしてもらってるっていう気持ちが出てきて「わがままではなく、自分らしく」。過去は結構酷い人間だったと自覚しているんですけど。癌になった今だからこそ、ちょっとは人に優しくできるのかなあと。その恩返しじゃないけど、最終的には、オリジナルの「CCRC 」をつくりたいですね。都市部にいる引退したばかりの元気な人たちに地方に移住してもらって、元気なうちはやりたいことをやって、介護が必要になってきたら施設に移って、そこで看取りまでをする、という。食と運動と農業の周りに、医療、介護や趣味・教育、移住促進を絡めたコミュニティーをつくっていきたい。それが本当にやりたいことです。そこだけはぶらさないないように。

※CCRC……「Continuing Care Retirement Community」の略称で、高齢者が健康な段階で入居し、終身で暮らすことができる生活共同体のこと。

取り組んでいるもののひとつ「SDG’sカード」。「持続可能な開発目標」として17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。これを使った出張授業もしています。

大分んこと、知っちょん?
〜教えて! 大分の好きな◯◯〜

「スーパー細川」の唐揚げ


揚げたてはなかなか食べられないけど、冷めても美味しいんで、食べてみてほしい。
でも、僕は食べません。ビーガンとまでは言わないけど、菜食になったので。大豆でなら食べますよ。中津市民なんで、唐揚げを応援はしてます。食べませんけど。

▼中津市万田
「スーパー細川 万田店」

text by Kengo Tsuda
photo by Takamasa Anan