大分市・小野明歩さん

理学療法士/デザイナー/カラーセラピスト

人からありがとうと言われるのっていいなと思った

もともと家が酪農してたんよね。だから小さい時の写真の背景は常に牛がいるって感じ。それもあって獣医になりたいなと思ってた。でも飼ってた犬が死んで、話をしない相手に接するのってなあと考え直したんよ。

そのタイミングでばあちゃんが介護施設のボランティアに勝手に応募してて。小5のとき。
その時は施設のおじいちゃん・おばあちゃんの靴履く手伝いしたり、車椅子を押したりするくらいだったけど、人からありがとうって言われることに対して興味というか、いいなと思った。中2の時、偶然ボランティアに行ったのと同じ施設に理学療法士以下PT※1の職場体験に行って。
ばあちゃんがTKA(人工膝関節置換術※2)したのもあってPTになろうって思った。

※1 理学療法士……Physical Therapist(PT)。ケガや病気などでからだに障害のある人や障害の発生が予測されるひとに対して、座る、立つ、歩くなどの動作の回復や維持、また障害の悪化の予防を目的に、運動療法や温熱、電気などの物理的手段使った物理療法などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職。

※2 人工膝関節置換術……関節リウマチなどの病気によって傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、人工関節に置き換える手術。

精神的に支えんといけんのに、全然習ってないやん!

高校の職場体験の時の病院のPTさんのおすすめの専門学校に行って、整形外科の病院に就職したんよね。

4年目になって、整形のリハビリは痛みが取れたらよくなる。でも脳梗塞とかのリハビリはPTの介入次第で歩行とかの動作の回復度合いや機能の維持の具合が変わるんよ。そのリハビリを学べるところにいきたいと思って転職した。

そうしたら入職して2か月で後輩がうつになって。その時、メンタルってなんだろうって思ったんよね。リハビリテーションの定義って「身体的だけじゃなくて精神的にも支える」ってなってるのに、全然そのこと学んでないやんと思った。病気や障害を目の当たりにしてる患者さんはもっと辛いやろうに……って。

そういう人たちの心が前を向くにはどうしたらいいんやろうって考えてみたんよ。そこから自己啓発のことを学び始めて、そして実は自分は色とかデザインが好きだってことに気づいたの。先輩からの勧めもあってパーソナルカラーの資格を取ろう! と思い立って資格を取って、4か月後にはカラーセラピストの資格も取ったんよね。

脳梗塞とかのリハビリを学ぶために転職したけど、ここは想像とは違って。認定のリハビリの資格を持った人がいたのに、80代の高齢の方に起立訓練100回やったり……。そこのリハビリはマニュアル化してて個別性がなかったんよなあ。
「リハビリってなんやろう?」って考えてたら職場で過呼吸になってしまって……。そのタイミングで1回PTの職から離れた。

人を変えることはできないけど、
変わろうとしている人の背中を押すことはできる

辞めてから今まで勉強してた自己啓発に助けられた。いろいろしたんよ。デンマークにいる脊髄損傷で作業療法士をしてる人に日本にいるタイミングで会いに行ったり、マレーシアに薬局を造ったり。先輩の勧めもあって「可能性の見つけ方」っていう講演もした。

ちょうどその時期じいちゃんが亡くなって。その時「やっぱり人の人生に自分が関わりたい」、「誰かの背中を自分が押したい」って思ってPTに戻ったんよ。そしてまたPTとして働いてる。その傍ら自分の好きな色やデザインも続けられる環境もあって。オリンピックの公式公認プロジェクトでデザイナーすることになったり、お店の壁にデザインを描かせてもらったり、いろんなイベントに出店もしてる。
そういうことをしてすごくうれしいし、すごく楽しい! 周りからも応援してもらって、もっとこのことを知ってもらうことは必要って言われることがある。でもわたしは自分のペースで自分と同じ体験や経験の中にいる人の背中を押せる人でありたいなと思う。

自分の機嫌は自分でとる

最初の職場の人から見たら今の私は信じられないと思う。全然笑わなかったし、職場で一言も言葉発さずに帰ることとかあったから。でも自分の機嫌は自分でとって、これからはPTとしてはもちろん、絵やカラーセラピーで人を支えていきたい。

週3日PT、週4日デザインとかのバランスがいいなと思ってる。大好きな海の近くで暮らしながら、なんて。

小野さんの作品。クレヨンスクラッチで描かれている。

大分んこと、知っちょん?
〜教えて! 大分の好きな◯◯〜

お好み焼きの「大阪」


お好み焼き屋さん。PT実習時代にお世話になったお店だから特別思い入れがあります。
もちチーズが美味しい。

▼別府市上人西
「大阪」

text & photo by Miharu Korenaga