大分市・阿南貴将さん

株式会社あわや 介護ショップあわや 福祉用具専門相談員/ノーリフティングケアで日本を救いたい人

偶然の出会いから福祉用具の業界へ……

今の仕事に就く前は小中学校の図書室で働いてた。昔から本が好きで、図書館司書になりたくてね。だけど、3か月くらい働いて、なんだか物足りないっていうのかな……「もっと自分に正直に生きたい、もっと違うことにも挑戦したい」っ て思いが強くなっていったんよね。
そんなモヤモヤした思いを抱えながら、仕事終わりにたまたま今のあわやの前を歩いていたら、2階から見覚えのある人が降りてきたわけ。それが、高校時代の2つ上の先輩(現社長)でさ。立ち話で先輩が「いま、何しよんの?」と聞かれたから、「学校の図書室で働いていますよ」って答えたら、「阿南貴将のことを探してたんよ、一緒に働かん?」って言われて……次の日に面接で、そのまま就職したの。

※あわや……竹田市にある『株式会社あわや 竹田本社』

新たな挑戦と現場での苦しみ

仕事は楽しくて、就職して1年でだいたいのニュアンスはわかってきたかな。始めは車いすとか歩行器を利用者さんに納品したり、家の中に手すりを付けたりする住宅改修工事をしてたんよ。3年経つと、結構なんでもできるようになってね。
だけど、10年経つとできなくなっちゃったの……。なんだろうなあ、心が前を向かなくなってた。 

福祉用具ってケアマネジャーから注文をいただいて、納品することが多いから、ケアマネジャーに営業をかけるんだけど、そうすると「納品して」ってケアマネージャーから連絡が来るんよね。 福祉用具を持っていくでしょ? 忙しいとスケジュールも重なって、納品するだけの日々になっちゃって……。
利用者さんと接する機会とか時間が極端に少なくなっちゃったの。時間が取れても1人に10〜15分くらいかな。

そうすると、本当に利用者さんや社会にとって役に立っているのか、わからなくなってきて自分の魂がだんだん死んでいって…… もうこの仕事やめようって思ってた。

それと、古くからお付き合いしているお客さんのなかに旦那さんを介護する奥さんが居てね。奥さんが家で「旦那さんを車いすからベッド、ベッドから車いすへ移乗させる」介助をしてたの。だけど、介助量が大きくなって、だんだんと介助が難しくなってね。
奥さんは「家がいい」って言ってたんだけど“お父さんが寝たきりになったから”って理由で施設に入ることになって。
どうにかできそうでできない。当時は選択肢も持ってなくて……無力さを感じてた。

もがき苦しみの中から差し込んだ一つの光

5年前かな……当時、佐賀大学医学部教授の齊場三十四先生のセミナーで心を打たれたんよ。一筋の光が差し込んで、これしかないって思った。

※齊場三十四先生……脳性麻痺であり、両松葉杖使用の障がい当事者として社会参加を実現してきた。バリアフリー、ユニバーサルデザイン、障がい者・高齢者の自立などをテー マに著書多数。

齊場先生が「ワンルームリフトケア」を提唱してて、1ルームの部屋にリフトを設置してベッド・トイレとか全ての環境を整えてコンパクトに介護が1部屋で完結するものなんよね。
これが画期的でさ、日本に定着すると家で生活し続けられる人が増えると思ったわけ。「これだ!」と思った。それからどんどん、深く学ぶようになって兵庫県神戸市に行って、「ノーリフティングケアコーディネーター®」 の資格を取ったの。

今は「ノー リフティングケア」の営業しかやってない。

だけど、日本の介護現場は昔から“人を抱え上げる文化”があって、人を抱え上げるための時間に追われてることが多くて……なかなか変えていくことが難しいんよね。
「ノーリフティングケア」、つまり“抱え上げない文化”は馴染みがないんよ。最終目標は「在宅にリフト普及」が目標なんだけど、ケアマネージャーさんたちに馴染みがないこととコストがかかることだから、まずは川上(かわかみ)にある、病院や施設にリフトを導入してもらって 文化として根付くような働きかけをしてる。

ノーリフティングケアを実践する研修も積極的に行っている。

自分らしく生きたい

以前、「ノーリフティングケア」を学びにデンマークへ行ったんよね。デンマークは本当におもしろくって“自分が住みたいところで生活する”っていう文化が根づいてるの。それを国がサポートしてる。「自己決定」「自己責任」というのが基本だから、高齢者が自立してるの。

日本の現状は反対で「自分が◯◯したいから◯◯する」って少ないじゃない。寝たきりになって、迷惑かけるから施設に入るって人多いもん。だからリフトとか使って、乗り移りができれば寝たきりにならないし、もっと在宅生活が続けられるし、 最後まで「自分らしく生きる」ことになると思うんよ。

「自分らしく生きる」ことってね、自分に対してもそうなんよね。

前は、お酒を飲みすぎてて「自己嫌悪」になることがあったんだけど、 友人のアドバイスでその「自己嫌悪」に向き合ってお酒を止めたんよね。そしたら、嫌な自分がどんどんなくなっていって、人生が変わった……ありのままを出せるようになって、人生が楽になったの。そして、365日がハッピーになったんよね。
「自分らしく生きる」ってこういうことかと思ってる。

「自分らしく生きる」ために「ノーリフティングケア」を伝えて、世の中を変えていきたい。

大分んこと、知っちょん?
〜教えて! 大分の好きな◯◯〜

心の支え!
ガンジーソフトクリーム


久住高原にある「ガンジー牧場」のソフトクリーム。これね、ぜひ「ヨーグルトソフトクリーム」を召し上がって! めっちゃくちゃ美味いから。
ソフトクリームにヨーグルトがかかってるスタイル。もう一度言います。めっちゃ美味い。大好き。

▼竹田市久住町
ガンジー牧場

text & photo by Munehiko Matama