由布市・岩崎綾汰さん

「合同会社みゅーず」 ヘルパー

福祉用具の世界からヘルパーの世界へ

工業系の男子校を卒業し、20歳くらいまでは職を転々としてました。19歳の時から付き合って結婚した今の妻のお義母さんがヘルパーをしており、22歳の時にお義母さんから「福祉用具専門相談員」という資格を勧められて、自分で資格を取りに行ったのが介護業界に入るきっかけです。

22歳から26歳くらいまでは、複数の福祉用具の会社で経験を積みました。

そののち、義母がヘルパー事業所を立ち上げて、そこで福祉用具を扱う事業所を始めたことで自分も独立しました。

それから2019年に福祉用具部門を閉鎖しヘルパー事業所を一本化することになり、2020年3月に「介護職員初任者研修」の資格を取りに行って、ヘルパーをしています。

現在、ヘルパー1年目です。

試行錯誤の日々ですが、なかでも女性の入浴介助はかなり気を使ってます。

この業界は女性のスタッフが多いんですよね。自分は男性なので、男性利用者の入浴介助は喜ばれています。やっぱり同性だと気が楽ですよね。
ある男性の利用者さんは、自分が入浴介助に入る時と女性が入浴介助に入る時では、局部の洗い方が全然違うんですよ。女性の時は恥ずかしがって洗ってしまうんで、ちゃんと落ちてない時があるんですけど、結局女性ヘルパーがまじまじと確認してもう一回しっかり洗うことになってしまうんですよね。
けど、自分の時は違うんです。「ジャブジャブジャブ」って音出して洗ってくれるんですよね。確認も男同士なんで、堂々とできるし、自立でしてくれるんで、こちらとしても助かってますね。

入浴介助に入る前の岩崎さん。

仕事がしんどいと思ったことはあまりないです。

ヘルパーの仕事には、掃除や買い物などの「生活支援」とおむつ交換や移乗の「生活介護」の2種類あって、だいたい30分から60分のサービスに入っています。

現在、介護保険上いろいろ制約はありますが、それぞれの要望に合わせて現在、月に15名くらいの支援に入っています。

福祉用具を扱っていたことが、ヘルパーの仕事に活かせていると思います。

最近、引っ越しをした利用者さんがいて、居住スペースが変わったことで転倒を繰り返していたんです。歩行器は借りてたけど、福祉用具屋さんの話をなかなか聞かなくて困ってました。

けど自分は、毎回サービスに入っているおかげで信頼関係ができてて、「あったほうがいいんで。こういう機能があるんやけん」とヘルパーの立場で伝えることができたんですね。そしたら、本人も「じゃあやってみようかな」と言ってくれました。

普通のヘルパーさんだったら、福祉用具のことについてはあまり言わないと思います。自分はそれを伝えられるのがいいですね。

ヘルパーの仕事への使命感

ヘルパーって傍から見ると、ハードだと思われているんですけど、やってる現場の人たちは全然そんなこと思ってなくて。

介護業界に飛び込んできている人たちは、使命感を持ってやっている人たちばっかりです。そこを大変だと思っている人は自分の周りにはあまりいないですね。

結局、人の排泄関係を大変だと思われるんですが、「あなたの体からも出てますよ」って思いますね。

自分たちの目的は、在宅で最期まで過ごしてもらうことです。だから、業務だと思うことも大事だけど、利用者さんが何を困っているのかをしっかり聞く会話力を身につけて、施設には行かずに家で過ごしてほしいという想いでやっています。

血圧計とヘルパーの資料、これらを入れるバッグが岩崎さんの必需品。

ヘルパーを守るために

今後は「介護福祉士」の資格を取ってもっとできることを増やしたいと思っているし、指導する側にまわってヘルパーさんの質を上げるような活動をやっていきたい。

スキルを向上していく場がないので、勉強していく場所をどんどんつくっていきたい。

ただ、この仕事を100%で全部やろうっていうのは無理だと思うんです。やってもやっても終わりがないので、突き詰めると心も体も壊れてしまう……。もちろん、100%を目指すことも必要だけど、ある程度手を抜いてやっていかないと、100%を毎日行っていくことなんて無理なんですよ。絶対にしなくてはいけないことは、しますけどね。

だから、うちの会社のモットーは「手を抜けるときは、抜けよ」なんです。

手の抜き方も、きれいごとだけじゃなくて、しっかり教えてあげることも大切。入社したての方とか特に。うちの会社の社長である義母は、それを教えられる経験とスキルを持っているので、まずはそこを勉強していきたいと思っています。

いま、ヘルパーの仕事って統一されていなくて、個人差が大きいんですよね。移乗とかも知識がないのでできなくて、利用者さんへ怪我させてしまって、その人を担当していた職員にも嫌な思い出が残ってしまう。それが悪循環になってしまって、資格を持った介護職の人が離れていってしまう。

そういうつらい思いや嫌な思いを持って介護業界やめてしまった人たちに声をかけて、どんどん復帰してもらうようにしています。しっかりした資格を持っているのにもったいないですよ。

岩崎家の稼業

ヘルパーの仕事って、絶対人の役に立っているんですよね。そこは、誇りに思っていい。どんなに失敗しても、どんなに嫌な思いをしても、別にそこまで気にしなくてもいいし、絶対に待ってくれている人がいるのでやめないでほしい。この業界から離れないでほしい。

自分は、ヘルパーの仕事が岩崎家の稼業だと思っています。

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text & photo by Takamasa Anan